はじめに
みなさん家具を選ぶ時どんなことを考えて選びますか?
最近だとニトリをはじめとしてホームセンターなんかでもリーズナブルで良くできた家具を買うことができます。いわゆる大量生産大量消費ってやつですね。
今回ご紹介するホテル(というよりペンション)はそれとは正反対と言ってもいい一つ一つが職人によって作られ、細かな加工や高度な技術を要する美術館に展示しているような名作チェアに囲まれて宿泊できる宿になります。
名作と呼ばれる家具はどう違うのかうまく伝えられるようレビューを頑張るのでぜひ最後までご覧ください。
そもそもフィンユールって何?
宿の名前はハウス・オブ・フィン・ユールと言います。直訳するとフィンユールの家という意味ですね。
このフィン・ユールというのは北欧デンマークの建築家であり家具デザイナーの名前です。1900年代、家具(特に椅子)は建築家が「自分でデザインしたこんなかっちょいい建築の中にその辺で売ってる家具なんて置きたくない!この雰囲気に合う家具を自分でデザインするんだ!」という風潮がありこの人も例外に漏れずその一人です。
というか日本を代表する建築家である安藤忠雄なんかも椅子のデザインしているので現代にも通じる風潮なんでしょうね。
北欧風とか北欧インテリアって日本でも大人気ですよね。シンプルでいて無駄がなく温かみがある木を多用するあの感じです。フィンユールは、まさにあの感じを作り上げた神様みたいな人なんです。そんな神様が作った椅子を堪能できるのがこの宿1番の見所です。
アクセス
白馬村の中はとにかく交通手段が少ないです。村の中に電車はありませんしバスもほぼ見かけなかったレベルです。
自家用車で行かれる方は問題ありませんがそれ以外の方は基本タクシー移動を覚悟していきましょう。
ペンションのオーナーが宿泊者限定で送迎(要事前予約)もしてもらえるので自家用車以外の人はぜひ相談してみてください。
部屋の種類
ダブルルーム3部屋、サインルーム2部屋の全5部屋の小さなペンションです。
部屋の詳細は以下の通り。
ダブルルーム
- ポエトルーム
- チーフテンルーム
- ジャパンルーム
ツインルーム
- フランスルーム
- ペリカンルーム
それぞれの部屋で置いてある家具が違い、その家具名がそのまま部屋の名前になっています。
ちなみにツインルームもダブルルームもシングルベッドが2つあり、それがくっついているか離れているかの違いだけです。布団もシングルサイズがそれぞれあるので各部屋の紹介を見て気になったチェアがある部屋に泊まる形でいいと思います。
どこの部屋もオススメですが、特にツインタイプだとペリカンルーム、ダブルタイプだとポエトルームをオススメします!
ペリカンチェア
1940年にデザインされたパーソナルチェアで体を包み込むようなデザインです。
後ろから見るとペリカンが羽を広げているように見えてきませか?有機的な曲線を用いた優しい印象を与えるチェアですがデザインされた当初は量産できる技術がなく市場に出回ることはなかったと言われています。現代の最新技術と職人さんたちのおかげでこうして座ることができるんですね。
人間工学に基づいているのかは分かりませんが、極めて精密にデザインされており肘掛けの部分はやや外側に湾曲し着座姿勢としてやや後背しています。これによってフィット感やリラックス感を感じられる座り心地なのが特徴ですね。
ポエトソファ
こちらもペリカンチェアと同時期にデザインされたソファタイプのチェアになります。ダブルルームにおいていることからも二人で並んで座ってみたいソファですね。
IKEAなどに代表される北欧の家具ってだいたい作りが大きめの家具が多いのですがこちらはフィンユールが小さなアパートにも置ける家具を作りたいと製作した逸話があります。
北欧にはヒュッゲと呼ばれる落ち着いた空間で大切なひとと過ごすという考え方がありますがこの当時からそのようなイメージを大切にしていたのでしょうね。ペリカンチェアと同様に緩やかな曲線でデサインされているこのソファは現代でも製造は機械化できずファブリックは職人の手作業で丁寧に張られています。
共有スペースにもポエトソファはあるのですがこの客室にあるのは真っ赤な赤いソファでインスタ映えも間違いなしですね。
アメニティ、設備
現在白馬のペンションは全体で環境保全に力を入れておりアメニティは最低限です。
備え付けられているアメニティは次の通りです。
・スリッパ
・シャンプー
・トリートメント
・固形石鹸
・タオル類
歯ブラシと室内着はありませんのでパジャマ等は持っていくようにしましょう。
また部屋に冷蔵庫はありますがエアコンがありません。冬はパネルヒーターがあるので問題ないのですが、夏にエアコンが使えないので真夏は少し注意が必要です。
白馬の夏は他と比べればかなり涼しいので窓を開けて自然の風を感じてみるのもなかなかよかったです。ちなみに私が宿泊したのは9月の初めですがエアコンに慣れた現代っ子なので夜はやや暑かったです笑
とはいえ寝れないほどではなく明け方は肌寒いくらいだったのでほとんどの方は問題ないのではないかと思います。
ボトルウォーターはありませんがピッチャーがあるので共有ラウンジから自分で汲んでくるシステムです。ただこのピッチャー大きすぎて、部屋の冷蔵庫には入りません笑
ラウンジは24時間空いていますしそもそも気温が低いので、まぁ特に問題はないです。常温の方が健康にもいいと言いますしポジティブに考えていきましょう。
シャンプー、トリートメントはMARKS &WEBのものでした。自然派ブランドをチョイスしているあたりこだわりを感じますね。
共有スペース
ペンションなのでフロントがなく1階の共有スペースでチェックインをします。
共有スペースは地下のラウンジスペースとは別に1階に1箇所、2階に1箇所あります。もちろんここにもフィンユールの代表的なチェアが置かれており自由に座ることができます。
またペンション内の照明もその多くがルイスポールセンのものが使用されておりショールームと言われても納得できるクオリティです。ペンダントライトが中心なためダウンライトほどは明るくないですが雰囲気が出て居心地のよい空間となっています。
客室が二階にあり1階と2階が吹き抜けで繋がっており声が響くので利用は夜22時までとなっています。
宿泊者限定ラウンジ
半地下にある一晩中利用できるラウンジになります。
一つの部屋ですがさりげなく空間が分けられておりプライベート感も感じられます。
ここではなんとリンゴジュースをはじめとして地元のビールやワインなどのアルコールまで全て飲み放題となっています。(一部有料のものあります。)フードもオーナーさんが季節に合わせたアラカルトを用意してくださっているので軽くつまみながらアルコールも楽しむことができます。この時期は白馬の名産の1つである食用ほおずきを中心としてチーズなどのもの合わせでした。
ルイスポールセンの照明、フィンユールの家具、地元はアラカルトと地酒を楽しめるなんてどこの高級ホテルにも負けない贅沢な時間です。本場のヒュッゲってこんな感じなんでしょうね。本や簡単なボードゲームなどもあり自由に楽しむことができます。宿泊の際は幸せな夜更かしを楽しんでくださいね。
前述したペリカンソファをはじめとしてフィンユールの代表作であるチーフテンチェア、ウイスキーチェアなど様々なデザイナーズチェアが置いています。是非気になった椅子に座って座り心地などを体感してみてください。
ちなみにどんなに気に入っても購入するとなると一脚数十万の世界なのでなかなか手が出ないですね笑
朝食、食事について
基本朝食付きのプランになるので朝食はペンション内のダイニングで食べることができます。派手さはないですが鮮度の良い野菜を素材の良さをいかした朝食を食べることができます。私たちは翌日の出発が早かったためどうしても時間に間に合わない旨を伝えたところサンドイッチを用意していただけました。卵や生ハムなどを使用したサブウェイのようなサンドイッチが1人あたり2つもありとにかく美味しくて感動しました。雰囲気もあるのかもしれませんが、白馬というか長野の食べ物って海がない代わりに畑の食べ物がとにかく美味しい印象でした。
あまりにもおなかが減っており、写真を撮る前に食べてしましました。自分の食い意地に驚いています。笑
また夕食はペンションでは提供していないため周辺で食べることになります。お店はいくつかありますがやはり冬がベストシーズンのようでしまっている店も多かったです。美味しいと評判の生ジンギスカンのお店に行ってみましたが満席だったので人気なお店は予約必須ですね。
チエックインの際などに聞くとオーナーさんからおすすめの店舗も教えてもらえるのでその時期のおすすめを是非聞いてみてください。
周辺の観光情報
白馬村は良質な雪が降るので冬のスキーが有名です。しかし夏もその自然を生かし様々なアクティビティを楽しむことができます。中でもおすすめを紹介します。
・八方池へのハイキング(軽い登山)
オススメ度:★★★★★
夏の白馬といえばここと言われる代表的な景勝地です。
スキー用のリフトを3つ乗り継ぎ、そこから1時間30分ほど歩いた先にあります。標高が高いため結構寒いので軽い羽織りものを持ってきましょう。
また注意点として下りのリフトが季節によりますが16時前後で終わります。このリフトが止まってしまうと歩いて山を降りないといけなくなり、街灯がない中暗くなっていく周囲の恐怖を覚えながらガチ登山をすることになるので十分時間に余裕を持って向かいましょう。
オーナーさん曰く午後は天気が曇りがちになるので午前中に登る人がほとんどだそうです。
実は今回私たちは東京から青春18きっぷで向かったのですが始発に乗っても白馬駅に着くのが昼過ぎになってしまいました。現地でそのことを知りましたが翌日は別の予定が入っていたのでとりあえず行けるところまで行ってみようと2時前ごろからリフトに乗りました。
結論として天気に恵まれたのと登山客が少なかったので(というかこの時間から登る人はほぼいないので…)2時間かからずに往復でき帰りのリフトに間に合いました。
八方池で写真を撮ったりはできましたが道中の景色を楽しんだりする余裕はあまりなかったのでこれから向かう人たちは午前中から登ることを本当にオススメします。
・スノーピークランドステーション白馬
オススメ度:★★★★☆
新潟県燕三条に本社を置く人気キャンプブランドスノーピークですが国内で最大級のショップを併設したキャンプ場があります。建物は隈研吾氏が設計しており組み木のようなかっこいい建物です。ここでしか買えない限定グッズやレストランでも用いられているソース類などお土産としても喜ばれるような商品を買うことができます。
週末はキャンプサイトでイベントをしていねことがあるようで地場の野菜や工芸品が売られていました。
・みみずくの湯
オススメ度:★★★☆☆
国内でも屈指の強アルカリ性温泉です。地元の人に愛されているのか観光客というより地元の人が多かった印象です。
そして白馬地域の温泉ってお湯がやたら熱いです。冬は雪に囲まれて暑めの露天風呂なんて最高だと思いますが夏はとにかく熱いです。涼しいとは言っても夏なので湯から上がっても暑くて汗をかくレベルなのでオススメ度はなんともいえません。
ただ登山帰りに温泉入ってソフトクリームの流れは言いようがないほど気持ちがいいので場合によってはお勧めです。
・キャニオニング(白馬EXアドベンチャー)
オススメ度:★★★★★
ウェットスーツを着て川を降っていくアクティビティです。夏の早い時期の方が雪解け水の影響で水量が多いので良いそうですが9月初めでも十分楽しかったです。
途中で川に飛び込んだり自然のスライダーを滑ったりとガイドのスタッフの人が案内してもらえます。
駐車場から川に行くまではウェットスーツの関係で暑くてたまらないのですが川の水は冷たくて最高に楽しかったです。
ちなみにガイドの人は冬シーズンにはスキーなどのインストラクターをしている方が多いようです。
一年を通して現地におり、気さくに話してくれるのでもっと色々聞いておけばよかったなと思ってます。
今回お世話になった白馬EXアドベンチャーではキャニオニング以外でも併設のアスレチックやラフティングなどを楽しむこともできます。大人から子供まで参加できるツアーも多いので大自然を満喫したい方は要チェックですね。
まとめ
フィンユールを知らない方にも分かってもらえるよう書いたつもりですがどうだったでしょうか。
近代建築の巨匠であるミースファンデルローエの言葉で「神は細部に宿る」という名言がありますが名作と呼ばれる家具たちはその言葉がよく当てはまると感じます。
私は別に専門家でも何でもないのですが実際実物を見ると見えない裏面の仕上げだったり細かな配慮が感じられました。意匠権が切れた名作家具はリプロダクトと言って公式以外のメーカーでも自由にそのデザインを真似て作成、販売をすることができます。
値段も公式に比べ10分の1を切るようなものも多いのですがクエリティには雲泥の差があります。ハウスオブフィンユールに置いてある家具は全てリプロダクトではなく公式のものでオーナーが日本法人と一緒に立ち上げたと聞きました。
そんな美術館にあるような本物に触れ実際に使用できることは唯一無二の施設だと思います。シンプルでありながら歴史を感じられる空間にぜひ訪れてみてくださいね。
・日本で唯一フィンユールとコラボしているホテルに宿泊可能です。
・八方池は本当におすすめです。
・別のタイミングで同じ長野県の軽井沢へ行ったのですが、その時のホテルレビューはこちら(現在作成中)から紹介しています。
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